泣いた。

火曜日の意地悪な患者さんに当たったら嫌だな
意地悪チャージナースAに当たったらもっと嫌だな、
と思いながらベッドに入った水曜の夜は
動悸や寝汗に悩まされた。
肝っ玉の小ささは相変わらず。

そして出勤してみたら
意地悪じいさんは他のナースの担当
チャージは優しいエイプリルで
チームリードは、まだ新卒1年ほどなのにリーダーシップコースまっしぐらの、頭のいいジェシカ。
初めて受け持つ患者5人持ちからのスタート。
これは悪くなさそうかも!
と思ったが甘かった。

5人中、
2人は、言うこと守らない、ドクターがオーダーした検査も拒否する黒人女性と白人男性。
どちらも扱いが難しく、無礼だ、と夜勤のナースからレポートを受けた。
他の1人は混乱したおばあさんで目が離せない。
後の2人は、以前私にバラの花をくれた女性が再入院して来ていたのと、膝の手術をした素敵なおばあさん。

混乱したおばあさんはしょうがない。
それに、家族がいい人たちだったから、ちゃんと側についていてくれて
「心配しないでいいの、あなたは忙しいんだから!」と手伝いもどんどんしてくれた。

膝の手術をした、優しくって笑顔の素敵なおばあさんとそのご主人は
部屋に入るたびに和ませてくれた。

ホスピタリストが朝一番のミーティングで
わがまま無礼な黒人女性を退院させる、と言ったので
その準備をしていたら、ホスピタリストから電話がかかってきた。
「Chacha、これをいうのはとても心苦しいんだけど、もう1人退院させるね」
ホスピタリストのドクターMは、朝一で複数を退院させるナースの苦労を知っているので
謝りながらそう言って、私にバラをくれた女性患者さんを退院させるという。

ゲー、と思いつつも
その段階ではまだその後の1日が悲惨なことになるなんて思いもせず
無礼な女性が出て行ってくれるのだから少し楽になると思ってたよ。

それからほどなく、ワタクシは坂を転がり落ちて行きました〜

二人分の退院手続きを進めながら他の患者の世話をしていたら‥

もうひとり残ったほうの、無礼で気難しい患者さんの
foley catheter ←日本語でなんていうのか辞書ひかないとわからんかったが留置カテーテル、だそうで
そのカテーテルが私のシフトが始まってほどなく、突然、尿を出さなくなった‥
なんとこれは5月にいれたもの!!!
5ヶ月そのままって!その間ドクターにも診察受けてないって、
ありえね〜!
前日に入院してるのに、先生方の誰もそれをポイントアウトしなかったのは、どういうことですか!
泌尿器科のドクターさえもよ?
それなのに、早朝にコンサルトしたらしき泌尿器科のドクターは
よりによって利尿剤を与えるように、とオーダーを出している!!!

いけすかないホスピタリストの某に電話して
ドクター某みてもらえませんか、もしくは泌尿器科の先生にみてもらえませんか、と言ったら
お前はアホか?と言わんばかりの口調で

 フラッシュしろ。
 フラッシュしてもだめなら
 カテーテルもう一回入れろ!
 どっちにしても泌尿器科のドクターのオーダー通りに利尿剤もあたえろ!

フラッシュしてみるも
尿が出ないので
じっくり見てみたら
バルーンがしぼんで、カテーテル抜けかけてるじゃん!

膀胱のスキャンしたら、尿が380ML
患者さんはお腹が苦しいと訴える。

尿だせないのに「どっちにしても利尿剤あげろ」って、それは無茶!
ナースの私の判断でそれは保留した。
それに、カテテルの挿入するのは
あの腫れ上がった前立腺では泌尿器科のドクターじゃなければ無理だと思うわ‥ 
私がやって、そしてチームリードのジェシカもトライしてくれたけど
二人とも、案の定ダメだった。

患者さんは気難しい上に、苦しいのも手伝って
私を責める。なんとかしろと。
そんなこと言われても!

再びいけすかないホスピタリストのドクター某に電話したらば

 うーむ。泌尿器科の先生、誰か行けるか調べてみる。
 
だから、最初っからそう頼んでたやろが〜!
もう泌尿器科の先生は朝のうちにフロアから去っちゃったよ!たぶんもう建物の中にいないよ!

患者と家族の
怒りは私に向けられる。
一点集中砲火である。

午後一時、いけすかないホスピタリストから電話が入り

 オンコールの泌尿器科ドクターSにコンサルト行ってもらうから
 すぐに泌尿器科のカートを部屋に用意しておいてね

ひとまずほっとしたが、待てど暮らせどドクターはこない。
ドクターも、自分の診療所オフィスでの診察があるからだろう。
秘書がオフィスに電話したりしてくれたが
結局ドクターが登場したのは、午後5時よ? 5時!
7時間くらい待たねばならんかった患者さんの身になると
気難しくなくても怒りたくなる。

それまでの間、どうなっているのかアップデイトをしろと
ひっきりなしに呼びつける患者家族に
どうしようもできないからと
謝ることしかできなかった。
責任を感じ、なんとかしたいのに、できない無力感。

それだけではなく
お昼前に新しく来た患者がくせ者だった。

秘書から
「あなたの新しい患者ね、前、ここにいて知ってるの。クレイジーだからね‥」
と言われた。
ああ、グレイト‥

ええ、ほんとにクレイジーでしたとも。
精神疾患歴もあるとはいえ
痛み止め薬依存で
わめく、よびつける。
おまけに家族も揃ってクレイジーでした〜

彼女と家族の対応でさらにヘトヘト。
そしてこの患者の精神科の先生のビデオ診察が午後にあり、これがまた40分もかかって
その間、部屋からでられない。
ただでさえ仕事が遅れてるのに!

部屋から出たらエイドが
泌尿器科先生を待ってる患者さんの部屋から出てきて

 怒ってナースをここへよこせって言ってるよ

と。
もうあかん。ボワーと泣いちまった。
秘書もチームリードのジェシカもそれを見てびっくり。
ジェシカが「代わりに患者の部屋に行って膀胱のスキャンして、アップデイトしてあげる」という。
アシスタントマネジャーのエイプリルが
ほら、こっちおいで、と
私の手を引いてマネジャーの部屋に連れて行き
チョコレートがいっぱい入った段ボール箱を差し出した。

 チョコセラピーよ!

一つとって食べたら、部屋にいたダイレクターも

 もっと取りなさい!

マネジャー部屋にいたナース達も

 責任感じちゃったのね。全部ナースが背負うことはないのよ。

 なんとかできないかな、クーデーぐいぐい入れるとかできないかな?

 だめよ、あのひとの前立腺はこ〜〜〜んなにでかいのよ

と口々にいう。それを聞いてチョコをモグモグ食べる私。
そこには私を責める人など一人もいないので
ちょっと楽になった。
気が紛れたのでなんとか仕事復帰。
でも目が真っ赤で、まぶたも腫れちゃったので
患者さんに会う前に氷で少し冷やしたら
もともと薄いお化粧が全部ハゲて、すごい顔。

患者さんに謝りに行ったが、すでに緩んでいる涙腺は締まりにくい。
何もできずにごめんなさいと言ったら
耐えきれずにまた涙が出てしまった。
そしたら気難しい患者さんは

 いいんだよ。一生懸命やってくれてありがとう。

と言ってくれて驚いた。

その後、泌尿器科の先生登場。
オンコールのS先生の代わりに頼まれて登場したのはL先生。
私の顔を見たらコンニチハと日本語で挨拶してくる、陽気な先生だ。
私とジェシカを部屋に呼び

 いいかい、難しいカテーテルの入れ方を見せてあげるよ!

と、説明しながらやってみせてくれた。

溜まっていた尿が出て患者さんも安堵。私も安堵。朝に出たオーダーの利尿剤ドリップを始めることもできた。

夕方にはさらにもう一人の患者を受けることになり、トランスファーだったからまだよかったものの
痛みなどがないことだけ確認したが、私のシフト中にはほとんど何もしてあげられなかった。

シフトチェンジの時間近くになって
クレイジー患者がこんどは

 ちゃんと薬がもらえない!
 集中治療室では昨夜は全然問題なかった!
 この階では薬をめちゃくちゃにして!
 1日3回なのに、2回だなんて間違ってる!

ヒステリックにわめく。
担当ホスピタリストのO先生にその旨電話したら
先生も彼女には呆れてて 
 
 はぁ‥。 好きにしてやりな。

オーダーを書き換え、部屋に入ってそのことを告げたら
次の薬が午後9時だというのが許せないらしい。

 このフロアで出してる薬を、読み上げなさい!!

「いま引継ぎしてるから、レポート終わったら来る」というと
鬼の形相で

 私だってインポータントなのよ!

チームリードがその後を引き受けてくれたからよかったけど
もう勘弁してほしかったよ。

引継ぎレポートの後、膝の手術をした優しいおばあちゃんにおやすみなさいを言いに行ったら
膝が痛むわ、というので
シフト交代後だけど痛み止めを持って行った。

「正直、今日はちょっとラフな日だったのだけど、あなたとご主人の笑顔は私の元気の素でしたって言わせてください。」
という私に

 いろいろ世話してくれてありがとうね。あなたはとってもナイス。
 この週末はたくさん雨が降るから、三日間のお休み、濡れないように、おうちでのんびりしてね。

とまたニコニコ顏で言ってくれてほっこり。

もともとクレイジーな患者から何を言われても、ケッと思うだけで済む。
気難しい無礼な患者さんからさえも、最後には「ありがとう。」と言ってもらえ
優しい患者さんや家族からは、とても喜んでもらえた。
チームリードのジェシカはできる限りの手を貸してくれたので、忙しかったわりには
なんとか8時半までには病院を出られたし
ものすご〜〜くしんどかった1日だったとはいえ、
病院を出るときには嫌な気持ちではなかったのだ。


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COMMENT 4

Chacha  2015, 10. 03 [Sat] 08:25

☆mogu07さん☆

排尿できずに何時間もひたすら待ってた患者さんの辛さや苛立ちに向き合って
わたしも何時間もhelpless感と戦ってたので
とうとうブレイクダウンしてしまいました。
一番辛いのは患者さん本人だったのだけど‥

結果的には病状もトラウマにならずに解決したし、最後にはおじいさんから「ありがとう」って言ってもらえたのが
ものすごく救いでした!

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Chacha  2015, 10. 03 [Sat] 08:10

☆Kikoさん☆

カテーテルの不具合があった患者さんは
気難しくって、偉そうで、無礼な人だから、と引継ぎした夜勤からも
一緒に勤務したエイドからも言われてたけど
「ごめんなさい、としかいえません。なにもできなくて」と心を込めて言ったときに
おじいさん、柔らかい顔をしたんです。
膀胱が破裂しそうで苦しくて、何時間もその状態なのに
いいんだよ。
って。
まごころこめて誠実に接すれば通じるんだなあと改めて思った日でした。クレイジーな人には通じないけど!

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mogu07  2015, 10. 03 [Sat] 03:27

他のミス?の皺寄せがchachaさんの所に来て大変でしたね...
クレイジーな患者さんは別として、患者さんは事情を知らないから
近いchachaさんに文句を言いたいし、当たりたいし。
怒りやらの感情をぶつけずに頑張ったchachaさんは素晴らしいですよ!
それは解ってる人はちゃんと見てますよ〜

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Kiko  2015, 10. 02 [Fri] 18:45

ドキドキしながら、読みましたよ。 世の中、色んな人がいるねとつくづく思いました。

でも、最後が良かったから、全て良しって事で。 Chachaさんの一生懸命な姿は、ちゃんと伝わってますよ。

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